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それを機に、延長保育を週2回減らした。
本当はもっと減らしてあげたいが、今出来るのは、それが限度だった。
遥人はその週2回の早いお迎えを、とっても楽しみにしてくれた。
迎えに行くと、照れ笑いをしながら、お友達を紹介してくれた。
お友達のお母さんが笑顔で頭を下げた。
「いつも仲良くしてくれて、ありがとうございます」
「いえいえっ!こちらこそ、ありがとうございます」
いつものお迎えの時間は、他のお母さん達と接する事があまりなかったので、なんだか嬉しかった。
遥人と手を繋ぎ、歩きだすと、遥人は手を離し門へと走り出した。
入口の花壇に、園長先生が水を撒いている所だった。
私は小走りで遥人の後を追いかけた。
「遥人、危ないから走らないよっ!」
遥人は花壇の前で立ち止まると、小さな手を広げ、空を仰いだ。
「お母さん、虹だよ」
ふと目をやると、花壇あたりから、虹が見えた。目を凝らさないと見失う程の、うっすらとした小さなものだった。
「ふもとどこかなぁ、ここかなぁ?」
ふわふわと左右に頭を傾ける黄色い帽子の後ろ姿が、たんぽぽみたいで愛らしかった。
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