現実と温度差

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 ──遥人、お母さんはこの頃、あなたの事を突然現れた怪獣のように思っていました。  夜が近づくともう手に負えない程泣き出し、私の平常心をかき乱す、とんでもない怪獣だと思っていました。  自分の事もままならない歳であなたを産み、それでもしっかりと向き合わなければいけなかったよね。  あなたは勝手にどこからともかく現れた訳じゃない。お母さんから産まれたのだから。  今、この頃に戻れるのなら、私は歌を歌いながらあなたが泣き止むまで寄り添おうと思う。  もっとおおらかに、泣いたり笑ったりする無邪気な時期を、楽しみたかったと思う。  ごめんね、遥人。
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