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「委員長って素直だよねぇ。何でかな、それが本心なんだなってわかる」 「そ……そんなことない」 「友達にね、自分のことを『可愛いくない、ブスだから』って言うのに、自撮りをSNSにあげまくってる子がいるの。何も言わずに写真を投稿するなら何も思わないんだけど」  苦笑いをしながら、あえてブラウン系ではなく、オレンジ系のアイシャドウを選んでみる。春香の中で、椿にはこの色が似合うような感じがしていたのだ。 「佐倉さんは? SNSはやってるの?」 「私? 時々ねぇ。ちゃんと生きてますよ〜の報告みたいな? なんか生存確認みたいだけど」  軽くファンデーションを塗った(まぶた)に、テスターを使ってアイシャドウを重ねていくと、春香の思っていた通りの可愛らしい瞳に変化する。それを見て、春香は満足気に頷いた。 「うん、アイシャドウはこれにしよう」  すると眉根を寄せた椿が、首を傾げながら口を開く。 「……さっきの話だけど、その子って佐倉さんのお友達なの?」 「そうだよ。なんで?」 「あっ、佐倉さんの友達でもなんでもない私が口を挟んでごめんなさい。でも……なんか友達の話をしているように思えなくて……」  春香は驚いたように目を見開いた。なんとなく毎日一緒にいるグループのメンバーだし、お互いに嫌味を言い合うのは当たり前のことだと思っていた。  彼女がSNSに載せる写真も、違和感を覚えながらも"いいね"を押す。こうやってお互いの承認欲求を満たし合い、仲間との距離を上手く保ってきたのだ。
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