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佐々木くんに合わせるように私ももう少し歩くスピードを上げて、彼の隣に並んだ。
「人の多いところに行くのか、面倒くさいな」
せっかく私が調べたことを報告したのに、佐々木くんは全然いい反応をくれなかった。
「その、あからさまに嫌そうな顔するのやめてくれない?」
「僕は間違ったことは言ってない。生きた人間のほうが幽霊よりもよっぽど面倒だ。大勢居るところなんてなおさら……。僕の性格が嫌なら帰ればいいけど、たぶん、君はそうしない」
佐々木くんは私と同じ歳なのに、ちょっと大人みたいな言い方をする。
それに彼の言う通り、私は帰らない。彼の力が必要だから。
佐々木くんが私に冷たくするのは、私に利用されてると思ってるからなのかな?
「でも、一緒に来てくれるんだよね?」
彼はさっき「面倒くさい」と言っただけだ。
だから、面倒だけど来てくれる、っていうこともあるはず。
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