92人が本棚に入れています
本棚に追加
私は横を歩く佐々木くんの顔をちらっと見た。
「僕の用事のついでだ」
こちらを見ずにぼそりと彼が言う。
「用事って?」
「君に答える気はない」
佐々木くんは全然心を開いてくれなくて、会話も続かない。
だから、私はひとりごとのように「紗菜ちゃん、関係ないのに、どうして取り憑かれちゃったんだろう?」と言葉をこぼした。
だって、紗菜ちゃんは話をしてただけだもん。それなのに、どうして?
「怖い話をしてると幽霊が寄ってくるんだ。原理は知らないけど。それで、たまたま自分の話をしてるって気付いた幽霊が君の友人に入ったんだろう」
かなりテキトーではあるけれど、意外にも佐々木くんが説明してくれた。
憎たらしい言い方しないときもあるんだ?
「そう、なんだ? 教えてくれてありがと」
「別に」
私がお礼を言うと、佐々木くんはさらっと言って足を止めた。
つられて足を止めて、横を見ると、そこには大きな白い建物があった。丸い窓がたくさんついた不思議な建物だ。
「ここが木漏れ日児童館だな。僕は小林なんとかの顔は知らない」
最初のコメントを投稿しよう!