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「違う。なにを言ってるんだ?」
すごく嫌そうな顔で佐々木くんが小林くんに少し近付く。
「うわっ! もう君たちの邪魔はしないからっ、じゃあ!」
それこそお化けでも見たみたいな顔をして、小林くんは走って逃げていってしまった。
「だから、違うって……、はぁ……」
小林くんが走っていった方向を見ながら、呆れたように佐々木くんがまた大きく溜息を吐く。
たぶん、小林くんは霊に入られちゃって、途中の記憶がなくなってて、気が付いたら佐々木くんにボコボコにされていたと勘違いしてるんだと思う。しかも、私を理由にして。
佐々木くんが言うには、私と佐々木くんは友達でもないのに。
「えっと、助けてくれてありがとう」
違うって言われるかもしれないけど、私は後ろから佐々木くんにお礼を言った。
「別に。――これは持っていたほうがいいな。置いておくほうが危ないってことがわかった」
ほら、やっぱり、軽く流された。
それにもう彼の意識は電柱の横に置かれた指輪にいってるし。
手に指輪を持って、佐々木くんはなにかを考えているみたい。
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