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「ごめんなさいね、小学生のあなたたちにこんな話」
私のランドセルを見ながら、おばあさんはそんなことを言っていたけれど、私たちが子供だから話してくれたってこともあるんじゃないかなって思う。
だって、知らない人が外で急に話しかけてきたら怖いってママも言ってたもん。
たとえ、その人が道を聞きたいだけだったとしても。
「いえ、大事な人に突然会えなくなるのは悲しいですよね」
そう言ったのは佐々木くんだ。
いいと言われるまでなにも話すなって言われてるけど、私じゃそんな言葉見つからなかった。
きっと、また佐々木くんは「君には早い」とか言うんだろうな。
そう思って彼のことを見てみたら、珍しく悲しそうな表情をしていて、こんなことを言ったらまた嫌な顔をされるんだろうけど、ちょっと人間らしいなって……。
「ありがとう。あなたたちも気を付けて帰るのよ?」
寂しさと優しさを足した微笑みが、佐々木くんと私を交互に見た。
「はい」
そして、呼び止めることなく、佐々木くんはただ去っていくおばあさんを見つめていた。
「あの人に指輪のこと、言わなくてよかったの?」
もういいよ、って佐々木くんに言われてないけど、おばあさんがいなくなってから私が尋ねると
「渡す人間があの人じゃないってわかったから」
佐々木くんはいつもの気だるそうな表情に戻ってそう言った。
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