92人が本棚に入れています
本棚に追加
◆ ◆ ◆
もう夕方になってしまったけれど、私はそのままの足で紗菜ちゃんの入院する病院に向かった。
紗菜ちゃんの病室の前、私の後ろには佐々木くんの姿。
どうしてついて来てくれたのか、それは佐々木くんも紗菜ちゃんがどうなったのか気になったからだと思う。
「優希ちゃん!」
病室に入った瞬間、私に気が付いた紗菜ちゃんがベッドの上から笑顔で手を振ってくれた。
隣には紗菜ちゃんのママも居る。
「紗菜ちゃん! もう大丈夫なの?」
私は紗菜ちゃんのベッドに近付いて尋ねた。
顔色もよくなって、見た感じはとても元気そうだけど、まだ心配。
「うん、なんでかわからないけど、もう元気だよ」
ベッドの上でガッツポーズをして紗菜ちゃんが元気をアピールしてくる。
でも、急に「あれ?」と言って、病室の入口のほうを見た。
そこには気だるげな佐々木くんが立っていて、私は彼のことを紗菜ちゃんに説明しなきゃ、と思った。
「えっと、佐々木くん」
「あ、佐々木くんって、あの?」
私が紹介すると、紗菜ちゃんは少し驚いたような顔をした。
最初のコメントを投稿しよう!