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プロローグ
東京の端っこのそのまた端っこ。
石でも投げようものなら、その石は埼玉県に着地する。
散歩をしても、いくらも歩かないうちに東京を脱出してしまう。
取り分けた田舎感もないが、煌びやかな都会の雰囲気もない。
そんな場所に一体いつから建っているのかわからない、平屋建ての古民家。
古民家と言っても、最近カフェや宿泊施設なんかになって話題になっている様なおしゃれなものではない。
ただただ、古い。
裏庭には、少しの畑と、土蔵。
表玄関の引き戸には浅黄色の暖簾がかけられており、そこにはまるで新選組を髣髴させるかのような『骨董屋有閑堂』と白抜きの文字が風にひらひらと吹かれている。
有閑堂はずっとずぅーっと昔からそこにある。
近所の大人たちが子供だった頃には既にあり、爺ちゃん、婆ちゃんたちが子供だったころにもあったという。
客らしい客が来ているところを誰も見かけないのに、潰れることもなく有閑堂はずっと前からそこにあるのだ。
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