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あなたの様子がおかしい………
原因は分からない。
何かに悩んでる、確かなのはそれだけ。
なるべく二人きりを避けてきたけど……
今回は見過ごせない……
弱音を吐かないあなただから、自分で何とかしようとしてるんだろう。
僕は、俯きがちに部屋を出るあなたの後を追った。
廊下を進み非常階段に出ると、あなたはその場に座り込んだ。
黙って隣に座る。
膝に腕を乗せて、その上に顔を隠してる。
顔が見えないから心配で堪らないよ………
たぶん……顔を上げないのは僕だと分かってるからだよね
「………どうしたの?」
「……………」
「………話してくれないの?」
「……………」
「僕じゃ頼りにならない?」
「………そんなことない………でも……きっと……お前には分からないよ」
「……………」
「………ごめん」
「……………」
「……………」
「……僕には、分からないかも知れないけど………あなたのことだから………僕は、分かりたいよ」
やっと顔を上げたあなたが僕を見る。
「…………ありがと」
一言だけ……そう言ったあなたが、また顔を埋めてしまう。
やっぱり言ってくれないか………
頼りにならない、そう言われたようで視線が下がる。
すると………少しだけ動いたあなたが、僕にぴったりと寄り添う。
あなたの右側と僕の左側。
温もりを分かち合う………
少しは頼られてるのかな?
そのまま動かないあなたに、僕は黙ったまま寄り添い続けた。
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