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二人の秘密の想い出が、一つ二つと積み重なっていく。 その想い出を、ふとした瞬間に思い出しては笑顔になって…… 友達以上、恋人未満のこの関係。 くすぐったくて………甘くて……… そう思っているのは僕だけじゃないよね? その想いを確かめる術も時間もないまま、日常は目まぐるしく過ぎていった。 夢に近付けば近付くほど、二人の秘密の時間は減っていき、疲れきった身体を何とか動かして、毎日死んだように眠る日々。 もう何日、あの幸せな時間を過ごしてないだろう………… 一緒にいるのに、一緒にいられない。 こんな日々がいつまで続くんだろう……… 今日も、ひたすらやるべき事を淡々とこなしている。自分達の目指す夢の為に……… それ事態に、心折れることは決してないけど……… あなたが足りない……… 不意に鏡越しにあなたと目が合った。その瞬間弾かれたように動く身体。 「ちょっとトイレに行ってきます」 許可を得て廊下に出ると、すぐ横の壁に凭れた。 来る?来ない? きっとそれが答え……… 待っている時間は恐ろしく長く感じて、息が苦しい 指に後がつくぐらい力を込めて握った拳。目を閉じてカウントをする。 いち、に、さん、し、ご、ろくを数えたその瞬間、扉が開いた。 僕を確認すると、泣きそうな顔で笑うあなた。 僕はその細くなった手首を掴むと、誰もいない隣の部屋にあなたを引き入れた。 扉にあなたを押し付け、両手で頬を持ち上げる。 視線をその瞳からゆっくり唇を移し、そのまま奪った。 初めて触れたその唇。 同じ男とは思えないその柔らかさ。一度重ねたら止められなかった。食むように啄むように、繰り返し触れる。 あなたの手が俺の腰に回ったのを合図に唇を離した。 上気した顔が俺を見つめ、薄く開いた唇は色香とともにまた僕を誘う。 「お前が好きだ」 初めて聞けたあなたの気持ち。 「僕も好き……」 溢れる想いは言葉よりも唇で……… 時間にしたらほんの5分。一方通行ではなかった気持ちに心が満たされていく。 「戻らなきゃ…」 「……うん」 時間をかけて重ね合った想いは、僕達の距離を一気に縮めた。
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