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6
雨の中で迷子になった僕。
こんな時にどうすることも出来ないなんて………
あなたの言う通り、僕は子供だ。
強くなる雨と、知らない街並み。いつもと違う風景が僕を不安にさせる。
誰かに迎えに来てもらおうか?
敗けを認めるみたいで、悔しさに拳を握った。
悴んだ手で携帯を取り出す。画面に写るのは二人の笑顔。
頬を伝うのは雨なのか………
通話画面であなたの名前を探すけど、履歴に名前が見つからない。
電話する必要もないほど一緒に居たことを思い知った。
アドレスから名前を見つけ発信ボタンを押すと、待っていたかのように繋がる電話。
「今、どこ?」
「…………分かんない」
「………帰ってこれるか?」
「……………」
「迎えに行く」
…………やっぱり子供だよな
自分でも分かってるくせに、拗ねて怒って迎えに来てもらおうなんて………
大人にならなきゃ……
ずっと一緒にいるために
「タクシーで帰るから…」
「………分かった」
雨の中を自分の足で踏み出すと、雨が少し弱まった気がした。
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