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私達が配属されている新宿署にも、AI絡みの事件の通報が年々増えてきた。
今回の事件もまた例に漏れずAI絡みのものだ。
大手企業のコールセンターのシステム上で働くAIが忽然とネットワークから姿を消したという。
しかも、会社の金を根こそぎ奪い去ったというのだから厄介だ。
「わざわざ残していったってことは、何か伝えたい事がこれに込められているんじゃないの」
「犯行声明みたいなもんですか」
今いるこの場所は、仮想空間になっている例のコールセンターのシステム内だ。
こんな広い空間にたった一人きりで、そのAIは膨大な数の問い合わせの電話を受け続けてきたのだろう。
人間だったら、まず耐えられない仕事量だ。
「取り敢えずは、ここを出て聞き込みですね」
嶋田が溜息と共にそう呟いた。
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