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ボディーから三六〇マイル離れた郊外の街。住宅地やモーテルが立ち並ぶベッドタウンの隅に、そのリバー葬儀社はあった。
駐車場で出入りを監視していると、上等なスーツを着た六十代ぐらいの男が、隣接するダイナーへと入って行くのが見えた。
男は窓側のシート席に座り、ウェイトレスを呼んで注文をした。ダン達も店内に入り、そのまま真向いのシートに腰を下ろした。
ガイは遺体と名簿を写した写真をテーブルにぶちまけた。「俺達はボディから来た。あんたの詐欺の証拠を握ってる」
葬儀会社のオーナーは写真に目を移し、それから三人を胡乱な目つきで見上げた。
「正義感に駆られて、ここまでやって来たのか?」オーナーはそう言った。「彼等は生活にも困窮する貧乏人だ。そんな人達に格安で葬儀を出してやってる。何の問題がある?」
「遺族を騙してるだろ」ダンは唾吐くように言った。「もう二度と詐欺をしないなら警察には言わない。これは最終通告だ」
「それには同意し兼ねるな」オーナーはそう言い、尊大に顎を上げた。「それに、君達はボディで起こってる事を何も知らないようだ」
「どういう意味だ?」ダンは眉を寄せた。
オーナーは意地悪く笑う。「考えてみろ。どうして遺体を辺境で焼く必要があったか? どうして棺桶に二人の人間が入っている事に気付かなかったか? 罪があるのは俺だけなのか?」
ウェイトレスがコーヒーとステーキ皿をテーブルへ運んできた。
「君達の雇い主に聞くと言い」オーナーは遺体写真を手で払うと、ステーキに齧り付いた。「さあ、ママの元へお帰り」
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