猿(エン)Ⅱ

　自宅近くのスーパーの特売品コーナーでバナナを大量に買った。
バナナもここ半年くらいで一割ほど値上がりしていると聞く。
　特売品のバナナは値段も安く、どれも十分に熟れていて、ちょうど今が食べごろだ。

　久しぶりに郊外にある森林公園の中にあるサル園に来た。持参したバナナを園内へ投げ入れると、サルたちが歓声を上げ一斉に群がってきた。

　一匹だけ、身じろぎもせずオレを見返している。
　こいつが、やつだ。以前、オレの脳と強制的にテレパシーをつなぎ交信してきた猿（エン）だ。

　今回も急に身体がカッと熱くなり金縛りにあった。操られるように頭が猿の方向へ真っ直ぐに向き、テレパシーの交信が始まった。