猿(エン)Ⅱ

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「重い話だろ、今日はこれくらいにしておこうか。ついでに、もう一つだけ教えてやろう。お前たちがペットだと思っている犬や猫は人類と滅亡を共にはしないぜ。もうとっくに知ってて、もう一度、野生で生きていく覚悟ができてるぞ」猿はオレを驚かせて楽しんでいるようだ。 「あまりがっかりするなよ、生物は皆、種としての宿命を受け入れるしかないんだよ。ところで、今日の話は誰にもするな。人類が真実を知るには少し早すぎる」猿は優しい顔になりさらに続けた。 「それなら、なぜ、オレに教えた?」と聞くと、 「そりゃあ、あんたが聞きたいというから教えてやったまでだ、これでも心優しいつもりだがね。それに、あんたなら信じるんじゃないかと思っただけさ。実際、あんたは、めっちゃ面白いやつだぜ、わざわざこんな所まで意見を求めにくるとはな」猿は涼しい顔で言った。
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