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プロローグ
私、西園寺赤音は保育園に入り、井藤真君、東海青葉ちゃん、北島緑ちゃん、南紫帆ちゃんと仲良くなり、いつも五人で行動した。
緑ちゃんは、髪が緑色の女の子。
一人称は「うち」。
紫帆ちゃんは、紫髪の女の子。
一人称は、名前呼び。
青葉ちゃんは、青髪のかわいい女の子。
一人称は「あたし」。
みんな、私の大切な友達。
最初は上の苗字で呼んでいたけれど、今は下の名前を言うことも抵抗がなくなってきた。
ある時、保育園のみんなで楽しく過ごしていたら、知らない女の子がどこからか現れた。
「真、ハーレムでも送っているのかしら?」
「送ってないよ。
みんな、ただの友達だよ」
「ふうん、まあいいわ。
恋愛という意識はない?」
青葉ちゃんと、私は「ない」と二人同時に答えた。
緑ちゃんは、女の子に質問をした。
「恋愛としての意識って、なあに?」
「異性としての感情よ。
まあ、まだ幼稚園にも通えないような、保育園のお子様には、そういった話はまだ早かったかしら?」
「よくわかんないけど、誰なの?」
紫帆ちゃんが、質問を投げかけた。
「あたしは、カンツォーネよ」
「カンツォーネちゃんって、綺麗だね」
「まあ、ありがとう。
実は無名だけど、キッズモデルもやっているのよ」
ここで、空気を読まない紫帆ちゃんが答える。
「紫帆は、真君、大好きだよ。
真君と付き合っているの」
「最近の保育園児は、ませているのかしら?
付き合うって、どんなふうに?」
「キスもしたし、手もつないで歩いたりもしたんだ。
将来は、真君と結婚するって婚約もしたの。
指輪は、まだもらってないけど、大人になってから買ってもらうんだあ」
「紫帆ちゃん、もうこれくらいにしようか・・・・」
真君は止めたけれど、紫帆ちゃんは止まらなかった。
「真君にお嫁さんになりたい人を、ランク付けしてもらってね、1番は紫帆だったの」
「これ以上、言うとどうなるのかわかっているかしら?
幸せ発言はやめてもらえない?
少しでも助かりたい意思があればね」
カンツォーネさんは、一瞬で隼のように動いたかと思えば、紫帆ちゃんは地面に倒れた。
しかも、血だらけになっていた。
「保育園児の分際で、偉そうな発言や態度をするんじゃないわよ。
いつ、どこで、誰が被害にあるのかわからない世の中で、軽々しいことをすると、どうなるか身に染みておくのよ。
って、死人にいってもしょうがないか。
話を聞いていないというか、聞くことすらもできないものね。
じゃあね、真、またいつか会いましょう。
次、会う時はいつになるのかしらね」
こうして、カンツォーネさんは去っていった。
紫帆ちゃんはこの世界で、真君の初恋で、初カノだったけれど、こうして亡くなってしまった。
その時に、死という怖さを初めて知ることになった。
「絶対、強くなってやる・・・!」
真君が泣きながら、私と青葉ちゃんと緑ちゃんの前で呟いていた。
この後は、この保育園で事件が起こったとか、被害者の友達などの噂が流れ、息苦しい毎日を送るようになった。
こうして、数年の月日が流れて、私と青葉ちゃん、真君、緑ちゃんは同じ幼稚園に入園することとなり、四人は幼馴染となった。
真君は大切な存在を守れるように、と最強の騎士となった。
緑ちゃんは兵士となり、剣術は真君よりも上だけど、物理となると男の子である真君の方が強いとなってくる。
私はというと、剣術の才能もなければ、魔法の才能もない。
ただの守られの最弱女ということになる。
だけど、私は何かの役に立ちたいので、メイドとなった。
メイドの仕事は簡単ではなかったけれど、おかげで料理や洗濯物、掃除も含めて、身の回りのことは一人でもできるようになってきた。
真君は、カンツォーネさんに紫帆ちゃんを奪われて、最初は恨んでいたり、生き返らせることに挑戦したり、かたき討ちをするとも怒りに燃え上がっていたけれど、それが全て意味のないことだとわかった今は、こうして私たち幼馴染を守ることだけに専念してくれている。
二度と、同じ悲劇を繰り返さないために・・・・。
私たち、四人は幼馴染であるがために、深い絆で結ばれていると思っていた。
ずっと、思っていたのに・・・。
お城に、カンツォーネさんがやってきて、一人で次々とやっつけていく。
カンツォーネさんの物理攻撃は、なぜか強くて、私と青葉ちゃんは見ていることしかできなかった。
緑ちゃんと、誠君の二人で、カンツォーネさんと戦っていた。
「なかなか、やるわね・・・・」
「ああ、こっちもだ」
「だけど、油断大敵よ。
緑、今すぐやりなさい」
緑ちゃんは、真君を後ろから剣で刺した。
真君は、うつ伏せの状態で、血だらけになって倒れた。
「緑、どうして・・・・?」
「実は、うち、騙していたの。
この数年間、この時を狙ってね」
「裏切ったのか・・・?」
「裏切ったんじゃなくて、最初から騙すことを目当てに近づいていたことに気づかないなんて、あんたはどんなに頑張っても脳筋ってことが、今ここで証明されたね」
「そうよ。
真、そもそも、あたしに味方がいないって思いこんでなかったかしら?
残念。
あたしには、緑という味方がすでにいたということよ。
あんたを絶望させ、情報収集もすべてこの子がやっていた。
だけど、真も含めて、みーんな違和感に気づかなかった」
「そうだね、真。
あんたは、考えなしだよ。
少し考えれば、何でカンツォーネさんに情報がばれているのか、違和感を持てたはずだけど」
こうして、緑ちゃんが真君を剣で、カンツォーネさんは蹴りで攻撃しつづけた。
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