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そう、こうして
「おい、お前見ただろう…誰にもいうなよ。言ったらフォーマン伯爵家がどうなるか位わかるよな…?」と脅されてしまったのだった
「黙ってます!黙ってますからっ!」
(というか、なんで私の名前を知っているのよ〜!!)
「っ…………はぁ、ここもダメか…」と王弟は、ドカッと不謙遜に座った
「えっと、どういうことでしょうか?」と恐る恐る聞いてみる
「……はぁ、どうせ知られてしまったしな。理由を教えてやるんだから口外するなよ。」と凄まれ、コクコクと頷いた
「俺がクズ王弟と呼ばれているのは知っているだろ?」
「えぇ、まぁ。」
「……兄上と歳が近いせいで、俺を王にしたいと思う馬鹿がいるんだ。バカな方が傀儡にしやすいとかと思っているんだろうが…一応スペアとして王族教育を受けたからな。頭は悪くはないと思うんだが…まぁ、国王にしようと持ち上げてくる奴がいるんだ。だが、あまりにもバカだったら持ち上げようとしないだろう?だからバカなフリして過ごしているんだ。…これでいいだろ」とイラついたように言い放った
「………それって辛くないんですか?」と思わず聞いてしまった
「何がだよ。」と面倒くさそうに、こちらを見やった後、窓辺を見つめた
「だって、バカなフリをして、侮辱されて………国王様だって知ってるんでしょ?けど、庇おうともされない…国王陛下のためにしていることなのに…」
国王は王弟を嫌っていると有名なのだ
「もう慣れてるし、別に庇ってくれだなんて頼んでねーしな。」
「けど、その執務だって陛下のですよね?チュルデンもファブザーも陛下の直轄領地でしょ?」
「兄上は他の政務では忙しいからな。」
「その手柄、陛下の手柄として取られるんですよね?私、陛下の手腕ってすごいなと思ったんです。けど、大体のは王弟殿下が考えられたのでは?」
「まぁ。大体はそうだな」
「なら、」
「いいんだよ。俺がクズと呼ばれるたび、兄上の名声は上がっていく。そうすることで上手くバランスが取れているんだからな。気にするな」と少し悲しそうに微笑んでいた
(脅してきた時は最低だと思ったけど、そうとは思えないわ……)
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