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「あっ、」そう声を漏らしてしまったのは仕方ないだろう。
そんなに会うことはないだろうと思っていたら王弟、セオドアに会ったのだから
「お前、俺をストーカーでもしてんのか…」と訝しげに見られる
「そんなわけないでしょ!たまたまですよ!」
公爵家主催の夜会へ訪れた際、また王弟に出会ってしまったのだった
「そちらこそ、わざとなんじゃないですか?」と嫌味ったらしい笑みを浮かべる
「…………」と無言でさってしまった
(失礼な人っ!)そう思い、怒りを晴らすためスイーツを食べに向かう途中、主催者者のルイス・アーレンデリルとあった
「アーレンデリル様、今宵はお招きくださりありがとうございます。」と淑女の礼を取る
「いえ、こちらこそ来てくださり、光栄です。サラ嬢」とにこやかな笑みを浮かべた
(名前呼びを許したわけではないのだけどね…)相手の方が身分が上なため、申すことはできないのがもどかしいが、勝手に名前呼びをしてくる令息なんていっぱいいるので今に始まった事ではないと言えるが
「せっかくですので、一曲踊ってくださいませんか?」と手を差し出される
普通は婚約者と初めに踊るのだが、いない場合はこの場で一番身分が高い令嬢と踊るはずだ。
なのに、なぜ自分を誘うにかさっぱりとわからない
(この場で一番爵位の高い令嬢はミラーフォント家のリアリス様でしょうに…)
手を出されたのに断ることなんて無作法であるし、そもそも主催者を断れなく仕方なく踊ることにした
(お兄様とくればよかったわ〜)
兄は行こうか悩んでいたので、私がゴリ押しすれば来てくれただろう。
とてつもなく後悔した
ルイスの手を取り、真ん中に方へ進んでいく。主催者の登場に、貴族は自然と道を開けた。それが作法だからだ
ドレスを翻し、優雅に踊る。意外にもルイスのリードはうまく、流石公爵家子息といったところだろうか。
ただ、背中にある手が不快ではあるが。
今回のドレスは背中が少々開いており、手を擦り入れることは容易だ。
(背中に手を入れようとしているの!?いやよ!)今すぐにでもリードを解いてどこかへいってしまいたいが、そんな無作法をできないし、これから社交界で無作法な娘と罵られてしまう
やっと音楽が止まり、次々にダンスが始まろうとしていた
「では、」そう言って輪を抜けようとしたが、ルイスは離してくれなかった
(え?ダンスは連続で踊っていいには恋人や婚約者!夫婦のみなのに!)
立て続けで踊ろうとするルイスの手をどうにか離さなくてはいけない。音楽が始まってから抜けることなどできないのだ
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