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「え…?あの方って…」
「何故伯爵令嬢なんかと?」
「サラ嬢は王弟と…ーー?」などとヒソヒソとした声が聞こえてきた
(無理もないわよね…なんせ王弟と戻ってきたのだから…それもエスコートされて)と隣のエスコートしてくれている王弟セオドアを見つめる
サラの視線に気づいたようで視線で「なんだ?」と返してきた
「…注目集めてるな、と思いまして」
「まぁ、な。フォーマン家の宝石と名高いサラ嬢がクズと有名な王弟といるからな」と自嘲したように笑った
「いえ、そんなことないですよ。フォーマン家の宝石云々は分かりませんが、クズと有名でも王太后さまの遺伝子が働いていて顔は頗る美しいですから、狙う令嬢も多いんですよ?それに王家出身となれば殿下が婿入りした家の格式は上がる。なんだかんだで優良物件として扱われてるんですよ」
「褒めているのかいまいちわからないな。」
「……多分、褒めてます…………?」
「っ………褒められている気がしない。」と話している二人は仲睦まじく見え、このことがきっかけで恨まれるだなんて、考えなかった
「なぜ、クズな王弟なんかと………!!」と歯軋りをし、二人を忌々しげに睨みつける男がいた
「あら、……どうしたの、ルイス様?」とルイスのそばにいる令嬢は不思議そうにルイスを見つめた
***
「はぁふぁ〜……」
陽光がカーテンの隙間からさしており、眩しさで目覚めてしまった
「もう少し、寝たかったわね…何時かしら?」と扉付近にかかっている時計を見ると、時刻は昼の12時をすぎたばかりだった
(結構寝ちゃったわね…夜会の後はどうしても長く寝ちゃうのよね…)
ベットからのそりと起き上がり、1人に着脱できるドレスへ着替え、ダイニングルームへ向かおうとすると屋敷が少し騒がしいことに気がついた
(どうしたのかしら……)
「大変よね…まさか土砂くずれがこんな時期に起こるなんて…」
「えぇ、どうやら行方不明も多いらしいし…村一つは壊滅状態みたいよ…」と話しているのを聞いてしまった
(そんな…!?どこなのかしらっ!?)ドクン、と胸騒ぎがして父の元へ急いで行った
丁度父の執務室から兄が出てきた
「お兄様、土砂崩れが起きたって…!」と駆け寄ると兄の目元には隈ができていた
「サラ、か…あぁ、そうなんだ。まさかこんな時期に起きるとはな…」と頭痛がするのか頭を押さえていた
「っ……何か、飲み物をお持ちしますね、お部屋に持って行きますか?」
「あぁ、執務室にお願いする…まだ話し合わなくてはいけないからな…」と兄は父の執務室へ戻って行った
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