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アームドレスを纏った彼女の姿は美しい。キルアは知っているはずだ、これは攻撃を躊躇させるための心理的陽動であることを。
キルアはキャタピラを急加速させてその攻撃を右に躱そうとするが間に合わず、左腕にナイフが突き刺さる。装甲を貫通して生身の腕に痛みが走る。
二人が砂上に倒れ込むと、レーザーナイフがキルアの顔上にかざされる。
キルアは右腕の偏光シールドでそれを防ぐが、ギリギリと音をたてて少しずつナイフが目元に近づいていく。
「レコーダー、どうすればいい? アドバイスしろ!」
私が? そうですね、相手の右腕関節を短銃で撃ち抜くのが有効かと分析します。
キルアは痛む左腕を上げるとオートブラスターを構え、ナイフを持った腕の関節めがけて銃弾を連射した。
アーマノイドの機械の腕が弾け飛び、宙に弧を描く。
彼女が一瞬腕のほうに視線を逸らした隙に、キルアは右手にレーザーナイフを持ち、胸にあるコアユニットを突き立てた。
バチバチと火花が飛び散り、ドロリとしたオイルを垂らすとキルアの胸元に倒れ込んできた。
それはまるで息絶えた姫に抱きつかれた、悲劇の王子の様相を醸し出していた。
はぁ、はぁと息遣いの荒かったキルアは落ち着くと私に話しかけてきた。
「レコーダー、そのふざけた表現まで記録する意味があるのか?」
分析データに臨場感が加わると、戦績評価が上がるという統計が出ているから意味はあると言える。
「そろそろシングルも限界だな……。ブライドを装備したほうがいいかもしれない」
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