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キルアが店を出るとルーシーはその横につき、静かに街中を歩き出した。
道行く傭兵たちはルーシーの長身で凛とした出立ちに目を奪われ、ヒュウと口笛を鳴らしていた。
宿舎に戻るとキルアはすぐにアームドスーツを装着し、滑走路で待機している宇宙輸送船に向かった。
「次の駐屯地は第五植民惑星ヤーコブだ。すぐに出立する、ついてこい」
宇宙輸送船にはすでに無数の兵士たちが着座していた。ブライドアームドスーツも複数置かれている。
キルア達がシートに座ると、隣にいた傭兵がジロジロと興味深そうにルーシーを眺め、声をかけてきた。
「お前、すごいブライド持っているな。俺は兵器マニアなんだが……それ敵国のルシファータイプだろ? LCシリーズのテストモデルだ。たしか一体しか製造されていない超レア機体なはず」
「訳ありで格安で手に入れた。一体しか製造されていない? ということはやはりこいつは……」
輸送船は大気圏を離脱すると、すぐに亜空間スリットスペースへと移航した。
キルアはチラリとルーシーに視線を向ける。
「ルーシー、お前はヤーコブでの戦歴はあるか?」
「以前に二度戦闘を行った記録があります。戦闘領域の地理情報も把握しております」
「十五年くらい前のことも覚えているのか?」
「はい、ちょうどその頃ヤーコブで戦闘中でした」
「俺に見覚えはないか?」
「いえ、記録には存在しません」
「そうか……まあいい。お前には思う存分働いてもらおう」
「お役に立てれば光栄です」
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