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市街地に入ると、かつて栄えたであろう街並みの賑わいはなく、朽ち果てたビルが所々かろうじて残っているだけであった。
「この地で俺は家族を失い、一人取り残された。生きていくには傭兵の道を歩むしか手はなかった。しかしここでの戦闘が終結すれば、やっと平穏な生活を送ることができる……」
キルアが誰にともなく、いつもの口癖を呟く。その話を私とルーシーは黙って聞いていたが、すでにアトミックセンサーは無数のアーマノイドの姿を捉えていた。
「五十機体はいるな……。さあ、一気に片付けるぞ。全滅させれば、それなりの報奨が待っている」
キルアはアーマノイドが集中して潜むビルに、レイルガンランナーの照準を合わせると引き金を引いた。
発射されたフォトンアロウがビルに命中すると、瞬く間に崩壊して大きな粉塵を噴き上がらせた。
すると白く染まった霧の中から、怪しくうごめく黒影がヒタリ、ヒタリと近づいてくる気配をキルアは感じた。
「ルーシー、あいつらを向かい撃て」
「承知しました」
ルーシーは二つのレーザーソードを繋げると、薙刀のように長い剣を作り出し、回転させながら、接近してくるアーマノイドを次々と切り裂いていく。
キルアもアームドスーツの肩に装備されたガトリングブラスターを手前に倒すと連射を始め、遠方から迫るアーマノイドを薙ぎ倒していった。
しかしそれまで鳴り響いていた射撃音が一気に鳴り止み、カラカラと情けない弾切れ音だけが残ると、キルアの額に冷たい汗が流れた。
「弾切れか、くそ」
キルアは慌てて着脱ボタンを押すと、射出されたガトリングブラスターはゴトリと力尽きて地に落ちた。
銃弾の補充のためにエネルギーベルトの交換をしようとブラスターに手を掛けると、カラコロンという音が耳元で囁いた。
「ヘビーアトミックグレネード……?」
大きな爆発音とともにキルアは吹き飛ばされ、瓦礫の山に叩き——つけ——られた。
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