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「レ、レコーダー……」
一部損壊——自動修復まで、会話不、可。
「マスター!」
ルーシーが——向かう——倒す——潰す——壊す——損傷。
……
「マスター、大丈夫ですか。敵は殲滅しました」
顔面の半壊したルーシーが——抱き寄せる。
「はぁはぁ、しくじった……。ルーシー、お前に聞いておきたいことが……ある。あの坂をもう少し登ったところに……教会がある。悪いが、そこまで、連れていってくれないか」
「承知しました」
修復完——了——
ルーシーはキルアを背負いながら、一歩一歩、坂を登っていった。
やがて折れた錆色の十字架がぶら下がる教会が見えてきた。銃弾の傷跡が煉瓦の壁に無数に残っていた。
木の扉を開くと、屋根に空いた穴から差し込む光芒が倒壊したマリア像を照らしていた。
「ルーシー、ここを……覚えて、いるか?」
「はい、以前敵国にいた時、ここで戦闘がありました」
「そのとき……子供を助けたろう?」
「ええ、戦闘に巻き込まれそうになった男の子を安全な場所へ退避させました」
「敵であるはずの……お前が、なぜ、助けた?」
「私は唯一殺戮だけでなく、人命救助を行うことも設計されたテストモデルでした。ですから子供を守るべきだと判断したんです」
「そのときの、はぁ、子供は……俺だ」
「見違えました。ご立派になられたんですね」
ルーシーは愛しむように、キルアを見つめた。
「あのとき……妹が目の前で……撃たれた。その復讐を、果たそうと思って、君の製造番号を、頭に叩きこんだ。はぁはぁ、しかし君は妹を、殺していない」
「ごめんなさい、私がもう少し早く訪れていれば守れたかもしれません。でもマスターは必ず助けます」
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