過ぎる時間の中で

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過ぎる時間の中で

プライベートならいざ知らず、仕事をしているときに某SNSの話をし始める人がいた。 ネット事情に詳しい人間が職場にいる。 あるクリエイターの話をしているのが聞こえてきた。仕事をしている机の島はいくつもに別れており、離れた席の名前は分からないほど広い。隣りの島の女性は同情しているのか、気の毒になりはするが、苦笑いをしながら会話を楽しんでいるようにみえた。 吐き気がした。 職を失うわけにはいかない。 彼が何を考えているのかが分からないが、好きだという気持ちが嘘ではないように思える。 電話で話したときも、メールで会話したときも、素直な人だった。付き合っていたわけではないから詳しくは知らなかったけれど、それなりにお互いの事情を告白していた。 男は目で恋をする。 女は耳で恋をする。 会えば彼は、私のことなど、簡単に忘れてしまいたくなるだろう。 それが怖かったけれど、恋が覚めたら、私は楽になるという確信がある。 なんだ‥‥こんな人だったんだ って、がっかりされたら、 私も悲しみは一瞬 怒涛のように押し寄せるだろうが、そこで理想の 自分から解放される。 そんな日を望む自分がいる。 彼の理想には程遠い私は、甘い夢を見ていたい彼とは全く違う想像をずっと、ずっと繰り返して 会いたくなるだろうか。
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