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楽しい楽しいカーチェイス
車通りのある県道に飛び出した。
少しでも人目があれば、このまま闇に葬られる事態だけは避けられる。
ところが、道に飛び出したとたん、
「ねえ、龍一来たよー!」
軽トラックの運転席から身を乗り出して手を振る美百合と鉢合わせた。
なぜこの場所に?
そして美百合はライの姿を認めると、
「あ、さっきの人だ」
と、パッと顔を輝かせる。
それからなんと、
「ねー安心して。お友だちも連れてきたからね」
なんて言う。
お友だち?
オ・ト・モ・ダ・チ?
美百合が現れたインパクトに気づかずにいたが、助手席には、しっかりあの介抱スリの男が乗っていた。
ライに向けて、どこか勝ち誇ったように手など振ってくるではないか。
なんてこった!
川からあがった後、仲間に回収を頼んで、河原に置いてきたはずだ。
それなのに、美百合が見つけて、拾ってきてしまった。
背後から、また気温が一度下がるのを感じた。
龍一だ。
怒っている。
美百合とスリの接触に、怒り心頭に発している。
だけど、せっかく捨てたものを、美百合が拾ってしまうなんて、ライにはどうしようもない。
嫁ならあんたが止めてくれと激しく思う。
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