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あちらは、装甲車並みに防御を固めた黒塗りの高級車と、武装した一個集団。
対するこちらは、豆鉄砲のようなベレッタ一丁と、小さな軽トラックだ。
敵の余裕も理解できる。
そして愛銃が通用しなかったかぎり、さすがの龍一もう打つ手なし、と思われた。
だがその時、龍一はおもむろに懐からスマホを取り出した。
いまさら警察に通報する気が、と敵、はせせら笑うが、龍一は相手に通話が繋がるや、短く、
「撃て」
と命じた。
瞬間、上空にヘリが爆音と共に舞い上がる。
そして前方に取り付けられたガトリング砲から、一斉射撃が上空から襲いかかった。
いくら防弾仕様の車でも、豪雨のように降り注ぐ銃弾の嵐は、予想外だ。
車のフロントガラスにヒビが入り、視界が真っ白になった。
それでも、銃雨は、途切れることなく降り注ぐ。
堪らず、運転手はギアをバックにいれて、後ろに下がろうとする。
だが、後続車がすぐ後ろに詰まっているものだから、尻をぶつけて動けなくなる。
「さげろ、頭をさげるんだ!」
そう叫んで、座席にうずくまるしか、為すすべがなかった。
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