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いまさら言うまでもないが、中身は美百合のひもパンだ。
繊細なレースに縁取られた華奢な女もののパンツ。
妻のパンツなのだから、別に龍一が触っても非難される謂われはないが、世紀のイケメンが女物のひもパンを満足そうに眺めやる絵面は、なかなか情けないものがある。
事情を知らない人が見れば、間違いなく嘆き悲しむことだろう。
「あー、私のパンツだ」
龍一に続いて軽トラックから降りてきた美百合が、龍一の持つパンツを取ろうと手を伸ばしてくる。
だけど龍一は、ひょいっと腕をあげて、美百合をかわした。
「なにするの、返してよ」
美百合は頬を膨らませて文句を言う。
誰の目に触れたかわからないパンツを、二度と再び美百合に履かせたくない、という龍一の気持ちもわかる。
どうせ捨ててしまうのならば、別に美百合に返す必要はないだろう。
ところが、
「これはお前のじゃないだろう」
龍一は予想外のことを言った。
美百合のではない?
では龍一のパンツなのか?
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