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もちろん、そんなわけはなく、
「お前のはこっちだ」
龍一は魔法のように、懐からもう一枚のひもパンを取り出した。
まさかの二枚持ちだ。
「えー。そうだっけ、えー」
美百合はどこか不満そうだが、龍一にもらったひもパンを大切にポケットにしまった。
これで、一応は事件解決だ。
盗まれたパンツは無事、美百合の元へと戻った。
だけど、訓練されたライにはわかっていた。
最初に盗まれたひもパンと、いま、美百合の手にわたされたひもパンは違うものだ。
おそらく、他人が触れたようなパンツを、美百合に触れさせたくないという龍一の考えだろうが、でもだったら、どこか釈然としない思いが残る。
だったら、ライにひとこと、
「捨てておけ」
と命じて済む話ではないのか?
龍一は、どうしても、自分の手でパンツを取り戻したかった。
それほどまでに、美百合のパンツに執着を持っている龍一。
だったら、はからずも事件に一役買ってしまったライは、これから一体、どうなってしまうのだろう。
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