10人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
恐る恐る顔をあげるライの前で、龍一は美百合に家に入っているようにと、顎で命じた。
思わず、
「行かないで」
とすがりつきたくなったが、美百合は、
「オッケー」
と簡単に言って、玄関のドアを開けて、家の中に入ってしまう。
でも、ドアを閉める寸前に、ライのことを振り返って、
「あ、後であなたもどうぞ。お茶でも飲みましょ」
と誘ってくれた。
これで、ライのクビは決定した。
そして果たして、優雅にお茶を飲めるような未来が、ライに訪れるのだろうか。
とりあえず、正座して次なる制裁を待つライの前で、龍一は先ほどのパンツを取り出しだしてきた。
今度こそ、美百合が盗まれた方のパンツだ。
それを両方の指で持って広げて見せながら、
「これが何かわかるか?」
と聞いてきた。
どこから見たってパンツだ。
だけどそのまま言う気にはなれず、
「美百合さんの私物です」
ライはそう答えた。
すると龍一は、ちょっと気にくわない顔をして、パンツの正面についていたレーズのリボン部分を摘まんでみせた。
「ここにマイクロチップが入っている」
「は?」
最初のコメントを投稿しよう!