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「中に入っているのは、例の国が作ったミサイルの設計図だ」
「はぁ?」
妙な声が出てしまった。
しかし龍地理は意に介さずに続ける。
「俺がその設計図に手を加えて、発射しても失敗するよう細工してきたんだ」
「!」
それでは、このところ毎日のように警報が出てニュースにもなる、あの、某国のミサイル発射実験に、龍一が関わっていたのか。
あの問題に、日本国政府はすでに乗り出していた。
ライも日頃から疑問に思っていた。
いくら内政干渉になるからといっても、こちらの国に向けてミサイルを発射するなんて傍若無人な振る舞いに、なぜ我が国は何も言わないのか。
なんで文句のひとつも言ってやらないのか、と。
いくらなんでも弱腰すぎる、と腹をたてていたのだが、龍一は、まるで明日の天気を語るように、自分が関わり、手を加えていると語った。
ミサイルの設計図に細工してきただと?
IT技術では世界に後れを取っていると言われる日本で、果たして、そんなことが可能なのだろうか。
しかし、ライがどこへ逃げても追ってきた龍一と、街中でガトリング銃を発射するなんて、過激な発想をする龍一を思い出せば、あながち不可能とは言い切れないような気がしてくる。
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