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だけど、
「ねえ、待ってってば!」
美百合がトコトコと後ろからついてくる。
何故だ。
女性なら、いや普通の人間なら、追いかけてくるのにためらうような困難な道ばかり選んだ。
道なき道、獣道だ。
それなのに何故、美百合は平気な顔をしてついて来られる?
そういえば、組織の初期訓練を、美百合も受けていたことを思い出した。
あの、初期といっても、自衛隊のそれと遜色ないほどの厳しい訓練。
美百合もアレをクリアしてきている。
なるほど、生半可な道では、美百合を撒くのは無理だ。
しかもその上、こちらは外国人の男という、大きなお荷物を連れている。
このまま、ただ走っているだけではじきに追いつかれる。
ライは腹を据えた。
さっきから目の端に見えていた川の方向に足を向ける。
有坂邸がこの土地に建てられたのは、土地を挟む形で、両サイドに一級河川が流れているからだと聞いたことがある。
この川のお陰で、武装集団も戦車を始めとする重火器も、有坂邸の正面からやってくるしかない。
敵を待ち構えるには絶好の立地なのだ。
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