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10.
麻衣が五歳になった。
今年はお祝いに母方の祖父母がやってきてくれた。
「麻衣ちゃん、お誕生日おめでとう」と、麻衣にプレゼントを渡した。
「開けてごらん」
「えー、ありがとう」
開けると白いワンピース。
「かわいい。今着ていい?」
「もちろん」
麻衣はウキウキしながら別室に着替えに行き、小走りにやって来てグルっと回ってお披露目した。
「麻衣ちゃんよく似合うよ」
「ほんとねえ」
皆で口々にほめた。
「ワーイ、なんだかお姫様みたい」
「麻衣ちゃんは、将来何になりたいの?」
「私、パパのお嫁さんになる」
「おやおや、娘はいいねえ。光、愛されてるね。父親冥利に尽きるだろ」
「そうかな」
光は少し照れた。
麻衣は座っている父親の横に立って腕を組み、にっこりと微笑んだ。
<了>
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