アブノーマル・アイデンティティ

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「いやいや、そんな。そう褒められちゃうとやる気出ちゃうなあ。で、なんて?」 「あ? レビューの内容? んなもん自分で読めよこの酔っ払い」  そう言いつつも律儀な担当編集は読んで聞かせた。  曰く「たいへん参考になりました」。 「そんだけぇ? どんだけぇ? っていうか何の参考になったわけぇ?」 「知らねっす。あ、こっちの人も参考になりますって書いてるなあ。なんだろ、なんかの暗号なのかな? まあいいや、あんたもう酔いも醒めたんなら帰りますよ。男に肩なんか貸しませんからとっとと歩いてくださいよ、と!」  どんと蹴られてつんのめった姫宮氏。  さして気にすることもなくそのまま大通りへ連行され、幸運にも一台つかまえたタクシーにぶち込まれて強制帰宅させられたようである。
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