アブノーマル・アイデンティティ

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 それがこの度、どうした風の吹き回しか、いつものように「大ヒット間違いなしの長編小説が書けました、せめて冒頭だけでもご高覧いだきたくお願い申しあげ候」などと送り付けた原稿が担当編集者の目に留まり、 「今回のは、う~ん、そうだなあと五年くらい温めておくっすけど、もっと短い読み切りとか再来週までに書けます? いやそれが佐藤ココア先生どうもスランプみたいで、穴開きそうなんすよねぇ。こうなったら姫宮サンでもかまわないっす。あんたいつも馬鹿みたいに頼んでもない三文小説送り付けてくるじゃないっすか」 とのことでこの際ココアでもソーダでもかまわんから、代打でどうにか自分の原稿をねじ込もうと一も二もなく安請け合いしてきたという次第である。
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