2人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
姫宮氏に忍耐はなかった。
姫宮氏は一瞬辛そうな表情を浮かべたかと思うと、迷うことなく文書自動作成ソフトを起動した。
「今回だけ! 今回だけだからぁ! 赦して神様、僕もう疲れたよ。っていうかお前が僕の才能を世に示すチャンスを与えないのが悪いんだ。ったくどいつもこいつも小説も読めねえバカばかりでよお」
短編小説はあっという間に完成し、てにをはだけ少々整えると、姫宮氏は何食わぬ顔でそれを編集者に送信した。
のど元過ぎればなんとやら。
姫宮氏は満足げにふうと大きなため息をつき、ぺらぺらのせんべい布団の上に大の字に寝転がった。
今日も姫宮氏の心身の健康は大いに保たれた模様である。
最初のコメントを投稿しよう!