壊れたシャーペン

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 シャーペンが壊れた。  中学3年から使っている、銀色の。  「これで受験勉強頑張りなさい」と母さんが買ってくれたちょっと高価なやつで、それでいてこれまで趣味の小説執筆以外で使われたことのない、親不孝の象徴のようなシャーペン。  それがたった今、壊れた。  試しに何回かノックしてみるけれど、芯は出ず、代わりにギコギコという苦しそうな音が出た。  昨日までは何の異変も感じられなかったのに一体どうしたことだろう。  故障の原因を探るため改めてシャーペンを眺めてみる。が、やっぱり異変は感じられない。  昔ボディに付けてしまった傷も、少し塗装の剥げた持ち手も、ぱっと見昨日までと何一つ変わっていないように思える。  ということは、故障は外から見えないところにあるのだろう。  俺は文房具屋じゃないから具体的にそれが何なのかまではわからないけれど、でも間違いなくどこかに存在して、そいつのせいで、このシャーペンは文字を紡ぐことが出来なくなってしまったのだ。  なんだかまるで今の俺みたいだ。
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