『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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149  う~ん、何?   小さな音声が耳に……ボールの弾ける音? 小さな音を耳が拾い始め、段々と私は覚醒していった。  ぼんやりと薫くんの背中が見えて、あれ? っと思い、そっかまだ 夜じゃなくて私ったら疲れて昼寝してたんだってことに、納得して…… 薫くんが何か見てて、そのテレビから零れてきた音が聞こえてたんだ ってことに気付いて私は薫くんに声を掛けた。  「何見てるの? 」  「あっ、芽衣さん。テニス、今ちょうど加山選手がリードしていいところ なんですよ」  薫くんが私の位置からも見えるように少し身体をずらしてくれた。  だいぶ、私の位置からは離れているので明確には見えないけれど 日本の選手が誰なのかは何となくわかった。  私は薫くんの発言を受けてモソモソと掛けていた肌布団をどけて テレビのほうへと近づいて行った。           ◇ ◇ ◇ ◇  「加山ってほんとすごいっすよね。尊敬するぅ~」  いつもの薫くんらしくなく、えらい感激している。 71
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