『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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150 「薫くんって、テニス好きなんだ? 」 「俺ンち、貧乏だけど……。  姉さんが安物だけどラケット買ってくれて中学の時から テニスやってるから」 「軟式テニスだったんだ?」 「うん、だからいつか硬式テニスやってみたい……な」  閃いた。  おしっ、めちゃくちゃ閃いちゃったわ。  出会った後一連の様子を見るにつけ、薫くんのことが見ていられなくなり アルバイトしてほしいって頼んだのだ。  それで買い物や掃除やいろいろ手伝いをしてもらってきてたんだけど、 私の生活が落ち着いてきたらどうしようかな? って思ってたところだった ので、ちょうど良かった。  お手伝いしてくれる人がいて、それが薫くんのような可愛い子でかつ それなりに男子だから力のいるようなこともしてもらえて、毎日を 窮することもなく楽しく過ごせてはいたんだけれど、何となく、何かが 足りないって風にも思ってたから。           ◇ ◇ ◇ ◇  娯楽……これだわっ、私たちに不足していた何か。 71-2
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