『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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152  見送るところまではいいのだけれど、薫くんの姿が見えなくなった 途端にいつも寂しくなる。  これはいつものこと。  救いはまた明日も会えるっていうこと。  だけど、翌日会えるまでの時間がすごく寂しい。  さびしん坊になってしまったみたい、私。  入浴も済ませ布団に入ると、考えるのは毎日同じこと。  もしこの先薫くんと会えなくなる日が来たら、というものだ。  時間というものは無常にチクタクと進んでゆくもので、今のこの一瞬の 小さな幸せをも、永遠に留まらせてはくれないから。  幸せな気持ちになった時間だけを、ずっとずっと持ち続けられるのなら どんなに幸せな一生になることだろう、そんな詮無いことを考えながら 私は毎夜眠りにつくのだ。  一瞬の幸せなんて、すぐに逃げていくって知ってるから?  芽衣、少なくとも薫くんに関しては、私がこの地に留まっている限り そして彼が学生でいる間は、今まで通り薫くんに会えるのだから 心配しなくて大丈夫だよ?  薫くんを心配して、アルバイトという仕事を彼に与え自分が 保護している気でいたけれど、薫くん中毒に侵されていたのは私?           ◇ ◇ ◇ ◇  依存しているのは、私自身なのかもしれない。   72-2
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