『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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232❧  「えーっ、行こうぜ街木い~、可愛い子いるんだって」  「「行こうぜっ、付き合い悪いぜ」」   「あーっ、わりぃ、俺そういうの駄目なんだわ」  「勃たないとか? 」「「「「「爆笑グハハハッ~」」」」」  「おまいら、失礼だなぁ~。 じゃそういうことで帰るわ」  そう言って颯爽と街木くんは暖簾を潜り1人店を出て行ったのだ。  そんな街木くんの残像を私はなんでかちょっとした新鮮さって いうか興味っていうか、なんか表現しにくい感情でなぞってた。  「「奥さんいるとさ、いろいろと面倒なんだなっ。 俺ら、独身でよかったよなっ」」  「「ンニャ、んにゃ! 」」  その後、彼らは奥さん怖さに街木くんが断って帰ったみたいなふうに 話してた。  でも今日、街木くんから奥さんの家出の話を聞いて、記憶を遡って 考えてみると、あの日にはもう奥さんは家を出た後だったみたいだから 奥さんがいなかったのに、他の子たちと一緒に遊びに行かなかった ってことになるわけ。  はぁ~、へぇ~、そういう男子(ひと)なんだ街木くんって。  なんか、いいよね。  うんっ、すごくいいよっ。           ◇ ◇ ◇ ◇    数日後のこと。  街木くんが食事を食べに出て行った後の彼の机を見つめつつ、 弁当を食べながらあの日のことを回想して私はそう思ったのだ。 119
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