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「ね、旅館だったら私一緒に付いてってあげようか?
奥さんと話し合いができる状況が整った時は、私はちょっと離れた
別の場所にいればいいしね。
岩手なんて遠いし独りだと心細いでしょ?
まぁ一緒に行くくらいで他は何にもできないと思うけど。
カップルで行って奥さんからよけい不信感持たれても
困るっていうのもあるから、街木くんがよくよくその辺も考えて決めて? 」
「ほんとにいいのか?
あっちで後半、百瀬がぼっちになったり先に帰ってもらったりとか
いろいろとどうなるか見えないけどそれでも? 」
「そんなの気にしなくていいよ。
いい方向にいくんなら私がぼっちで帰るのにも意味があるわけだしさ。
ボランティアするわ」
私が街木くんに付いて行こうって思ったのは前回の手伝うよって
何気に提案していたこととは別に、ふと会話の途絶えた彼を見ていて
誰かに背中を押してもらいたいような心細さみたいものを感じたからかも
しれない。
神無月、霜降の頃、私は街木くんと花巻市に向かうことになった。
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