『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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241👻  新幹線の切符代は街木くんが出してくれた。  休日だし、長時間になるので指定席にしたみたい。  これまでめったに新幹線なんて乗る機会なかったし、まして東北方面なんて 初めてで、窓からだけど流れる景色を目に焼けつけてやるぅ~ なんて意気込んだ。  予め買ってたお茶を街木くんに渡した。  5時間以上の列車の旅には、欠かせないアイテムでしょ?  座席に座るとすぐにバッグから出した。  「これ、お茶なんだけど、どうぞ」  「おう、ありがと、いくら? 」  「新幹線のチケット代全額出してもらってるから、これくらい 奢らせて? 」  「いや、俺の都合で付いてってもらうんだからさ、そこは気にしなくて いいぜ。ンっと、じゃあごっち」  私と街木くんがこの(あと)話すことはあまりなかった。  それぞれが旅先迄、自分たちの時間を思い思いの過ごし方でやり過ごした。  なんとなく街木くんが人生のパートナーにどんな人を選んだのか 少なからず興味があったので、街木くんは元より私も少しの期待を持って 花巻に向かったのだった。 124
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