『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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242  私たちが新幹線乗り場から向かう温泉宿は花巻温泉郷と呼ばれる 松や桜の並木に囲まれた明るい雰囲気が漂う旅館街にあった。  宮沢賢治が愛した地でもあり周辺には、宮沢賢治ゆかりの記念館や、 彼が設計した日時計花壇のあるバラ園などがあるらしい。  ネットで調べた情報。  5時間以上も乗り物に揺られ少し疲れたけれど、温泉街を歩くのは 嫌じゃなかった。  「街木くんは花巻市っていうか岩手に来た事ある?」  「ないない、初めて」  「奥さんの実家がこららだとか?」  「いや、違う・・はず」  「どうしてこんな遠くまで来ちゃったのかしらね?」  「ンと。探すほうの身になってほしかったね」    百瀬相手に、話ながら目的の旅館を探し歩いた。    百瀬ぇ~、お前がいてくれて良かったわぁ~って、今再認識してる。  知らない土地で独り、散策しながら宿を探すなんて、寂し過ぎるだろっ。  付いて来てくれるって話になった時、百瀬には先に帰ってもらうことに なるかもなんて言ってたけど、日帰りはマジキツイ。  そんな訳で俺と百瀬が宿泊する宿は、こっちに来る前にもうすでに 予約してた。     124
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