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私たちが新幹線乗り場から向かう温泉宿は花巻温泉郷と呼ばれる
松や桜の並木に囲まれた明るい雰囲気が漂う旅館街にあった。
宮沢賢治が愛した地でもあり周辺には、宮沢賢治ゆかりの記念館や、
彼が設計した日時計花壇のあるバラ園などがあるらしい。
ネットで調べた情報。
5時間以上も乗り物に揺られ少し疲れたけれど、温泉街を歩くのは
嫌じゃなかった。
「街木くんは花巻市っていうか岩手に来た事ある?」
「ないない、初めて」
「奥さんの実家がこららだとか?」
「いや、違う・・はず」
「どうしてこんな遠くまで来ちゃったのかしらね?」
「ンと。探すほうの身になってほしかったね」
百瀬相手に、話ながら目的の旅館を探し歩いた。
百瀬ぇ~、お前がいてくれて良かったわぁ~って、今再認識してる。
知らない土地で独り、散策しながら宿を探すなんて、寂し過ぎるだろっ。
付いて来てくれるって話になった時、百瀬には先に帰ってもらうことに
なるかもなんて言ってたけど、日帰りはマジキツイ。
そんな訳で俺と百瀬が宿泊する宿は、こっちに来る前にもうすでに
予約してた。
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