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この旅館では一見さんも泊まり客も、食堂で
飲食できる場所が整えられていた。
俺と百瀬は旅館の飲食コーナーに入るとすぐに視界に飛び込んできた
眼前の四人掛けのテーブルにさっと座り込んだ。
俺たちの行動はしごくスムースだった。
席を決めるのに言葉は必要なく、吸い寄せられるように
側にいる人と息を合わせるかのように同じテーブルを目指した。
「疲れただろう? こんな遠い所まで付き合わせて申し訳ない」
「それは言いっこなし、なし。
私、なんとなく街木くんの奥さんに興味があって……
あったからここに来ようって思ったんだし。
くだらない好奇心かもしれないけど、ちゃんと理由があって来てる訳で
だからほんと気にしないで」
私は旅館の奥を背に、街木くんは戸口を背に座っている。
そして私の話を聞きながらも街木くんは奥を気にしていた。
芽衣さんの姿を探しているのだろう。
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