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「かしこまりました。
私でどこまで街木くんの慰めになるか分りませんけど
この先、彼が立ちなおれるよう全力をつくします。
この百瀬奈々におまかせください」
芽衣は1歩前に出て、奈々の手を取った。
「どうかどうか、よろしくお願いします」
俯いたまま、そう芽衣は奈々にお願いをした。
街木くんに寄り添ってくれる人がいてくれて本当によかったと
芽衣は心からそう思った。
誰にも悲しい想いはしてほしくなかったから。
百瀬という女性は見るからに生命力に溢れていて、彼女の傍にいれば
大丈夫と思わせる包容力が感じ取れた。
自分にも10代の頃、百瀬のような友人がいたら、もっと人生が
生きやすく楽しかっただろうにと思わせてくれる存在感が彼女にはあった。
◇ ◇ ◇ ◇
百瀬は芽衣に言われずとも全力をつくすつもりだ。
街木は晴れて誰のものでもなくなったのだ。
遠慮はいらない。
ただただ、毎日彼を慰めようと心に誓った。
街木くん、待ってなさい……わたしがちゃんとフォローしてあげる
から。
街木は失意のうちに、何故か底抜けに明るく元気な百瀬連れで地元へと
帰って行ったのだった。
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