『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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355  しばらくは、剛さんの掛けてくれていた生命保険のおかげで余裕がある。  剛さんは、らしいっていうか、万寿さんや私が揉めたり困ったり することのないような方法で保険を掛けていてくれたのだった。  正直私はなんにも考えてなくて、このまま万寿さんと3人で暮らして いくものだとばかり思ってたんだけど、先だっての歩くんとの会話の 中で言われた言葉が耳に残っていて、夫が亡くなった後は妻は子供を連れて 出ていくものだという、私が何も言いださなければこれって万寿さんが 困る話だよね?  私は49日までこの家にいさせてくださいと万寿さんにお願いをした。  心のどこかで万寿さんがこれからも一緒に暮らしましょうよ、と 言ってくれるのを私は期待していたのかもしれない。  「そうね、すぐに出ていくなんて寂しいもの,49日過ぎてっていう ちょうどいい感じね。分かったわ」  と返事を貰って私はちょっぴり寂しく思ってしまった。  こんな風に思う私はきっと厚かましい人間なんだ。  だってここは元々万寿さんの家なんだもの。  稼ぎもなくて子供連れた私が付いていたんじゃあ、迷惑よね。  そう思いつつも、高齢の万寿さんのことは心配だし、真由には おばあちゃんっていう存在を感じて育ってほしいっていうのもある。  私は家を出ても、今住んでいる家からそう離れてない場所で 住む家を探そうと考えた。 188
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