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寂しい気持ちを振り払うように万寿は葬儀でも会った妹に
会いに行った。
そこで芽衣が出ていくことも話をした。
結構な額の保険金が下りたことは、話さなかった。
理由は、ただ聞かれなかったからだ。
芽衣も受取人の一人だったこともあり、芽衣が書類作成やら担当者との
やり取りやら、フォローしてくれて苦労することなく万寿は保険金を
手にしていた。
こういう時、大抵は嫁が受取人になっていて、姑が嫁に自分にも
渡さんかいっ、て罵る話を聞いたことがあるが、賢い息子はそんなことに
ならないよう、二人が受け取れるようにしていた。
真由がいる分、息子は芽衣ちゃんに少し多く渡るように契約していた。
私は剛のしてくれたことに不足はない。
家もあり、年金だけでも十分贅沢しなけりゃ、やっていけるけど
働けない年寄りには、余分な資産は心丈夫だからね。
その日は普通に妹と話しをして帰ったンだけど……それからが
何となくおかしい。何って妹の様子が。
余所余所しくなった。
あんなにしょっちゅう泊まりに来いと言ってた妹が剛を亡くして
芽衣ちゃんも出ていくって話をして、私が独りぼっちになりそうだと
知ると、途端によそよそしいったら。何なの全く。
心のどこかでは最悪、困った時は頼れる妹がいるって心の拠り所に
してたのに。
姉妹なんて所詮他人だねっ、はっ!
◇ ◇ ◇ ◇
カラ元気を装って暮らしている万寿だったが、芽衣が出て行ってしまう
49日が近づくと以前よりもよけいに寂しく感じるのだった。
何度か『ずっとここにいればいいじゃないか』と言い出しそうになった。
けれど、もしも断られたら、迷惑だったらと考えると、とても
言い出せなかった万寿である。
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