『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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360  買い物を終えてようよう車のシートに座った後、私は薫くんに話かけた。 「薫くん、会社のほうはどう?   事故のことで今大変なんでしょうね? 」 「うん、まぁ、俺たちの現場の仕事は今まで通り稼働しててそんなに 何かが変わったっていうことはないけど、経営陣はいろいろと大変そうだね。 ……あぁ、けどこれからは、しばらく仕事が減るだろうって先輩たちが 話してるのを聞いた」   「そっか、経営危機なんてことにならなきゃいいんだけど」 「……」 「あっ、ごめんなさい、よけいなこと言っちゃったね」 「いや、みんな考えてることだから」  まだ、具体的に何がどうって従業員レベルでは知らされてないようで 少しほっとしたけれど、一度に多くの働き手を失くしたのだから この先、何もないわけもなく、心配は尽きなかった。       191-2
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