『アイノカタチ』- 孤独だった私に手を差し伸べてくれた人がいた。 それぞれの思い出を抱えて私は生きてゆく ~♡

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363  トータン? 真由が薫くんのことをトータンって言った。  思わず薫くんのほうを見たら目が点になってる。   「真由ぅ~、薫くんはお父さんじゃないでしょ? 」 「カオ……トータンっ、とーたんっ」強い口調で真由が言うので 更に吃驚。  いたたまれなくなって、私は顔を上げられなかった。 「芽衣さん、俺、真由ちゃんの父さんになりたい。  俺じゃダメ?」  えぇーーーーっ!  その若さで、それはダメっ。  だってまだ薫くん、23なんだよ。    と、薫くんの膝の上に乗ってる真由が薫くんと一緒になって私を見てきた。  私が返事しかねていると薫くんが困ってる私をよそに、娘を抱いたまま 「真由ちゃんのお父さんか、うれしいなぁ~」などと、すぐに真由と LoveLoveモードへ突入するではないか!  子持ちの7歳も年上の私と本当に薫くんは結婚するつもりなんだろうか。  いくら何でもないわぁ~それはないわぁ~。  否定的な思いを抱えながらも逡巡していると、薫くんから催促された。 「芽衣さん、早く真由ちゃんに返事してあげて!   でないと真由ちゃんが可哀そうだよ! 」 「えーっ、だって……」 「いいよって言ってあげて、ほらっ早く」   193-2
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